免疫チェックポイント阻害薬は、従来の殺細胞性の抗がん剤とは異なる作用機序をもつため、副作用も異なります1,2。一般的に、免疫チェックポイント阻害薬による免疫抑制の解除に伴う副作用は、T細胞が全身の各臓器に浸潤して免疫反応を起こし、免疫反応が過剰になることで起こります1,2。このような副作用は自己免疫疾患に類似した症状を呈し、免疫関連副作用(immune-related
adverse event:irAE)とよばれます。
免疫チェックポイント阻害薬のirAEでは、皮膚、消化器系、内分泌系、神経系など、全身のあらゆる臓器に炎症性の免疫反応が発現することが報告されています2,3。
文献2より作成
irAEのなかでも、間質性肺障害、消化管穿孔、心筋炎、劇症型1型糖尿病などのいくつかの事象は重大な副作用であり、注意が必要です3。
文献3より作成
また、従来の殺細胞性抗がん剤の副作用は、一般的に投薬を中止すれば改善しますが、irAEは投薬を中止しても持続することが多いとされており、その点でも注意が必要です3。
免疫チェックポイント阻害薬の種類によって、発現するirAE
の種類や頻度は異なりますが、irAE対応の基本は共通しています。irAEの重症化を防ぐためには、できるだけ早期に発見し、治療を開始する必要があります。免疫チェックポイント阻害薬による治療を開始する際に、あらかじめ患者やその家族にもirAEについて説明し理解を得ておくと、早期発見につながりやすいと考えられます。
irAEが発現した際には、必要に応じて各疾患の専門医と連携し、投薬を中止するなど、適切な処置が必要です。各薬剤の適正使用ガイドを参照のうえ、それぞれのirAEに必要な処置を実施してください。
REFERENCES