がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌を対象として、オプジーボの有効性・安全性を検討した国際共同第Ⅲ相試験1)
1)小野薬品工業: 国際共同第Ⅲ相(ONO-4538-24/BMS CA209473)試験成績(社内資料)承認時評価資料
【目的】
フッ化ピリミジン系薬剤及びプラチナ系薬剤を含む併用療法に不応又は不耐の食道癌を対象に、オプジーボ群の対照群(ドセタキセル又はパクリタキセル)に対する優越性を検証するとともに、安全性を検討する
【試験デザイン】
国際共同実薬対照非盲検無作為化比較第Ⅲ相試験[優越性試験]
【対象】
フッ化ピリミジン系薬剤及びプラチナ系薬剤を含む併用療法に不応又は不耐の食道癌患者388例
[オプジーボ群:193例(日本人:136例)、対照群:195例(日本人:138例)]
【投与方法】
オプジーボ群:オプジーボ240mgを2週間間隔で30分かけて静脈内投与し、6週間を1サイクルとした。
対照群(実施医療機関の医師がドセタキセル又はパクリタキセルを選択):ドセタキセルは初回用量を75mg/m2※として3週間間隔で静脈内投与し、3週間を1サイクルとした。パクリタキセルは初回用量を100mg/m2として週1回6週連続で静脈内投与した後に2週間休薬とし、これを1サイクルとした。
【主要評価項目】
全生存期間(OS)
有意水準0.05(両側)で優越性検定を行った。主たる解析方法として、上記因子を層別因子としたlog-rank検定により投与群間の比較を行った。副次的な解析方法として、上記因子を層別因子としたCox比例ハザードモデルを用いて、オプジーボ群の対照群に対するハザード比及びその両側95%信頼区間を算出した。Kaplan-Meier法を用いて投与群ごとに中央値及びその両側95%信頼区間(Brookmeyer
and Crowley法)を算出した。さらに、Kaplan-Meier法を用いて投与群ごとに6、9、12、15、18、21、24、27、30ヵ月時点の生存率及びその95%信頼区間(Greenwoodの公式)を算出した。
【副次的評価項目】
奏効率(ORR)、病勢制御率(DCR)
ORRについて、上記因子を層別因子としたCochran-Mantel-Haenszel検定により投与群間の比較を行い、投与群ごとに割合及びその両側95%信頼区間(Clopper-Pearson法)を算出した。また、ORR及びDCRについて、Cochran-Mantel-Haenszel法を用いて、同じ層別因子で調整したオプジーボ群の対照群に対するオッズ比及びその両側95%信頼区間を算出した。
最良総合効果(BOR)
投与群ごとに完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、安定(SD)、進行(PD)、評価不能(NE)の割合を算出し、CR、PR及びSDの割合に対して両側95%信頼区間(Clopper-Pearson法)を算出した。
奏効期間(DOR)
投与群ごとにKaplan-Meier曲線を表示し、BORがCR又はPRである被験者を対象にKaplan-Meier法を用いて投与群ごとに中央値及びその両側95%信頼区間を算出した。
【サブグループ解析】
OS、DORは、部分集団(地域:日本を含む、転移臓器数、PD-L1発現、年齢、人種:日本人部分集団 など)ごとに、それぞれの中央値及びその両側95%信頼区間を投与群ごとに算出した。ORRについては、部分集団ごとに、割合及びその両側95%信頼区間(Clopper-Pearson法)を投与群ごとに算出した。
※本邦におけるドセタキセルの用法・用量(食道癌)は、「通常、成人に1日1回、ドセタキセルとして70mg/m2 (体表面積)を1時間以上かけて3~4週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量すること」である。
例数(%) a)UICC病期分類(第7版)
●OSのKaplan-Meier曲線
a)Kaplan-Meier法 b)層別Cox比例ハザードモデル
c)層別log-rank検定
層別因子:地域(日本/日本以外)、転移臓器数(≦1/
≧2)、PD-L1発現(≧1% /<1%又は判定不能)
全生存期間(OS)について、オプジーボ群の化学療法群(ドセタキセル/パクリタキセル)に対する優越性が検証されました(p=0.0381、層別log-rank検定)1)。
1)小野薬品工業: 国際共同第Ⅲ相(ONO-4538-24/BMS CA209473)試験成績(社内資料)承認時評価資料
IWRS:Interactive Web Response System
a)Kaplan-Meier法 b)非層別Cox比例ハザードモデル
PD-L1発現1%以上におけるOS中央値はオプジーボ群11.50ヵ月、対照群8.34ヵ月、 PD-L1発現1%未満におけるOS中央値はオプジーボ群11.04ヵ月、対照群9.36ヵ月でした1)。
1)小野薬品工業: 国際共同第Ⅲ相(ONO-4538-24/BMS CA209473)試験成績(社内資料)承認時評価資料
奏効率は、オプジーボ群20.3%、対照群22.1%でした1)。
1)小野薬品工業: 国際共同第Ⅲ相(ONO-4538-24/BMS CA209473)試験成績(社内資料)承認時評価資料
●DOR(実施医療機関の医師判定)のKaplan-Meier曲線
奏効期間中央値は、オプジーボ群6.93ヵ月、対照群3.84ヵ月でした1)。
1)小野薬品工業: 国際共同第Ⅲ相(ONO-4538-24/BMS CA209473)試験成績(社内資料)承認時評価資料
全Gradeの副作用の発現率は、オプジーボ群67.2%(129/192例)、対照群95.4%(185/194例)でした1)。
例数(%)
有害事象の集計期間は、治験薬投与開始日を起点として、治験薬最終投与後28日又は治験薬最終投与後の後治療開始日のいずれか早い時点までとしました。副作用は治験薬との因果関係が「関連あり」と判定された有害事象とし、因果関係が「不明」と判断された場合は副作用としました。有害事象のGradeはCommon
Terminology Criteria for Adverse Events(CTCAE) ver4.0を用いて評価しました。
a)オプジーボ群で2例以上に認められた重篤な副作用:発熱5例(2.6%)、間質性肺疾患4例(2.1%)、腫瘍出血3例(1.6%)、肺臓炎2例(1.0%)
b)オプジーボ群で2例以上に認められた投与中止に至った副作用:間質性肺疾患5例(2.6%)、肺臓炎4例(2.1%)、甲状腺機能低下症2例(1.0%)
c)間質性肺疾患1例(0.5%)、肺臓炎1例(0.5%)
d) 肺炎1例(0.5%)、脊髄膿瘍1例(0.5%)、間質性肺疾患1例(0.5%)
1)小野薬品工業: 国際共同第Ⅲ相(ONO-4538-24/BMS CA209473)試験成績(社内資料)承認時評価資料
例数(%)
有害事象の集計期間は、治験薬投与開始日を起点として、治験薬最終投与後28日又は治験薬最終投与後の後治療開始日のいずれか早い時点までとしました。
医師から報告された有害事象名は、Medical Dictionary for Regulatory Activities(MedDRA) ver21.1を用いて読み替え、CTCAE
ver4.0を用いて評価しました。
治験薬との因果関係は、2段階(1. 関連あり:治験薬の投与と有害事象の間には妥当な因果関係が存在する、2.
関連なし:治験薬の投与と有害事象の間には妥当な因果関係が存在しない)で判定することとしました。このうち、因果関係が否定できないもの、すなわち1.
と判定されたものを「副作用」として取り扱いました。また、因果関係が「不明」と判断された場合も副作用として取り扱いました。
1)小野薬品工業: 国際共同第Ⅲ相(ONO-4538-24/BMS CA209473)試験成績(社内資料)承認時評価資料
オプジーボ群で発現頻度が高かった留意すべき副作用は、皮膚毒性22.9%、内分泌障害12.0%、胃腸毒性10.4%でした1)。
例数(%)
有害事象の集計期間は、治験薬投与開始日を起点として、治験薬最終投与後28日又は治験薬最終投与後の後治療開始日のいずれか早い時点までとしました。
医師から報告された有害事象名は、MedDRA ver21.1を用いて読み替え、GradeはCTCAE ver4.0を用いて評価しました。
副作用は治験薬との因果関係が「関連あり」または「不明」と判定された有害事象としました。
1)小野薬品工業: 国際共同第Ⅲ相(ONO-4538-24/BMS CA209473)試験成績(社内資料)承認時評価資料
●OSのKaplan-Meier曲線(日本人部分集団)
日本人部分集団におけるOS中央値は、オプジーボ群13.40ヵ月、対照群9.36ヵ月でした1)。
1)小野薬品工業: 国際共同第Ⅲ相(ONO-4538-24/BMS CA209473)試験成績(社内資料)承認時評価資料
RECIST ver1.1
a)Clopper-Pearson法
b)Cochran-Mantel-Haenszel検定
c)Kaplan-Meier法
日本人部分集団における奏効率は、オプジーボ群22.43%、対照群22.22%でした。奏効期間中央値は、オプジーボ群7.62ヵ月、対照群3.58ヵ月でした1)。
1)小野薬品工業: 国際共同第Ⅲ相(ONO-4538-24/BMS CA209473)試験成績(社内資料)承認時評価資料
日本人部分集団における全Gradeの副作用の発現率は、オプジーボ群68.1%(92/135例)、対照群97.8%(135/138例)でした1)。
1)小野薬品工業: 国際共同第Ⅲ相(ONO-4538-24/BMS CA209473)試験成績(社内資料)承認時評価資料
例数(%)
有害事象の集計期間は、治験薬投与開始日を起点として、治験薬最終投与後28日又は治験薬最終投与後の後治療開始日のいずれか早い時点までとしました。副作用は治験薬との因果関係が「関連あり」と判定された有害事象とし、因果関係が「不明」と判断された場合は副作用としました。有害事象のGradeはNCI-CTCAE
ver4.0を用いて評価しました。
a)オプジーボ群で2例以上に認められた重篤な副作用:間質性肺疾患4例(3.0%)、発熱2例(1.5%)、肺臓炎2例(1.5%)
b)オプジーボ群で2例以上に認められた投与中止に至った副作用:間質性肺疾患5例(3.7%)、肺臓炎3例(2.2%)、甲状腺機能低下症2例(1.5%)
c)間質性肺疾患1例(0.7%)、肺臓炎1例(0.7%) d) 肺炎1例(0.7%) 、脊髄膿瘍1例(0.7%) 、間質性肺疾患1例(0.7%)
1)小野薬品工業: 国際共同第Ⅲ相(ONO-4538-24/BMS CA209473)試験成績(社内資料)承認時評価資料
例数(%)
有害事象の集計期間は、治験薬投与開始日を起点として、治験薬最終投与後28日又は治験薬最終投与後の後治療開始日のいずれか早い時点までとしました。
医師から報告された有害事象名は、MedDRA ver21.1を用いて読み替え、GradeはCTCAE ver4.0を用いて評価しました。
治験薬との因果関係は、2段階(1. 関連あり:治験薬の投与と有害事象の間には妥当な因果関係が存在する、2.
関連なし:治験薬の投与と有害事象の間には妥当な因果関係が存在しない)で判定することとしました。このうち、因果関係が否定できないもの、すなわち1.
と判定されたものを「副作用」として取り扱いました。また、因果関係が「不明」と判断された場合も副作用として取り扱いました。
4. 効能又は効果(一部抜粋)
がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌
5. 効能又は効果に関連する注意(一部抜粋)
〈がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌〉
5.5 本剤の一次治療における有効性及び安全性は確立していない。
5.10 本剤の手術の補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
6. 用法及び用量(一部抜粋)
〈がん化学療法後に増悪した根治切除不能な進行・再発の食道癌〉
通常、成人にはニボルマブ(遺伝子組換え)として、1回240mgを2週間間隔又は1回480mgを4週間間隔で点滴静注する。
7. 用法及び用量に関連する注意
〈効能共通〉
7.1 本剤は、30分以上かけて点滴静注すること。